2025.12.22

ひかりのにわ10年の変遷

~正解を探しながら走り続けてきた10年~

10年目を迎える今、あらためて

🐶チャッピーくん
棚橋さん、「ひかりのにわ」が2026年2月で10年目って…本当にすごいです。
今の率直な気持ち、聞かせてください。

棚橋代表
ありがとうございます。
正直、「あっという間」でした。
…でも、振り返ると本当に色々ありました。
順風満帆とは程遠くて、迷って、反省して、立て直して、また迷って。
その繰り返しの10年だったと思います。


2015年10月|始まりは「妻の一言」だった

🐶チャッピーくん
そもそも、始まりっていつ頃なんですか?

棚橋代表
思えば2015年10月。
前職を退職することが決まって、その先どうするかも考えられず、
日々目的なく過ごしていました。

そんな時、妻から言われたんです。
「自分でやっちゃえば?」って。

あの一言で、目的ができました。
そこからは右も左も分からない中で、まず税理士を探すところから。
税理士さんを何件も訪ねて、今も税務を担っていただいている吉澤税理士と出会って、
「この人にお願いしたい」と決めた。
今思うと、あの時点でようやくスタート地点に立てた気がします。


なぜ今、この話を書くのか

🐶チャッピーくん
10年の話、どうして“今”まとめようと思ったんですか?

棚橋代表
これから放課後等デイサービスは、さらに“冬の時代”に入っていくと思っています。
制度も、地域の状況も、運営の難しさも、年々増している。

それでも、この記事を読んだ誰かが
「立ち上げたい」と思ってくれたり、
「こういう選択肢もあるんだ」と知ってくれたりして、
結果的に利用者さんやご家族の選択肢が広がっていくことを願っています。


「こんな放デイがあったらいいのに」から始まった

🐶チャッピーくん
ひかりのにわって、最初から放課後等デイサービスをやる予定だったんですか?

棚橋代表
実は、会社設立当初は「生活介護」を始めるつもりでした。
放課後等デイサービスで働いている頃から、
「卒業後の行き先」に悩む保護者の方をたくさん見てきたからです。

でも色々な人に相談したら、
「放課後等デイサービスでのキャリアを活かしてスタートした方がいい」
と言われて、悩んだ末に放デイを始めることにしました。

そこから自分に問い直しました。
「じゃあ、どんな放デイがやりたいのか?」

児童デイ時代からずっと見てきた
“小学1年生から高校3年生まで、同じ時間・同じリズムで過ごす”という違和感。
小1と高3が同じ空間で過ごすことにはメリットもあります。
年上の子が年下の子の面倒を見てくれることも、確かに素敵です。

でも同時に、こうも思ったんです。
「彼ら彼女らそれぞれ必要なことがあるんじゃないか」って。


「4学年制支援」を考える|メリットしか見えなかった頃

🐶チャッピーくん
そこで生まれたのが、4学年制支援ですよね。

棚橋代表
はい。
当時、小学生・中学生・高校生といった区切りで分ける形はありました。
でも「4学年制」はありませんでした。

4学年制は、色々考えるとメリットがあると思ったんです。

・学校が変わるタイミングと事業所のクラス変更の時期がずれる(環境負担の軽減)
・成長特性で区切れる(多動が強い児童期、思春期、卒業に向けた時期)
・職員も年齢幅を絞ることで、関わりの専門性を持ちやすくなる

当時のメモを見返すと、そう書いてあります。
今でも、その視点は変わりません。

…ただ、正直に言うと、
その当時は今感じている苦労なんて想像していなくて、
「何とかなるだろう」くらいにしか考えていませんでした。

そして2016年2月、
「放課後等デイサービス ひかりのにわ」は無事オープンします。


思ったより“うまくいかなかった”時代|小さな一軒家からのスタート

🐶チャッピーくん
オープン後は順調だったんですか?

棚橋代表
うーん…順調だった部分もありますが、
全体としては「思ったより、全然うまくいかなかった」です。

ひかりのにわは小さな一軒家から始まりました。
活動室を見て、保護者の方から不安の声もありました。

当時すでに相模原市内の放課後等デイサービスは100を超えていて、
利用者集めにも苦労しました。
それでも初年度から利用は増やすことができました。

ただ、
職員にうまく「ひかりのにわ」の想いを伝えられなかった。
すれ違って辞めていってしまうひとも多かったです。
そして「4学年制」をどう組み立てるかも見えないまま、時間が過ぎていきました。


2017年5月|「あかのひかりのにわ」オープンと、優先順位の逆転

🐶チャッピーくん
その後、2か所体制になったんですよね?

棚橋代表
はい。
縁があって、大きな法人さんが放課後等デイサービスを撤退する場所
(現在のひかりのにわ)を借りられることになりました。

そして翌年、2017年5月に
「放課後等デイサービス あかのひかりのにわ」を横山台にオープンします。

でもそこで、優先順位が変わってしまったんです。

本来やりたかったのは学年別支援。
でも現実には、経営・運営の視点から
「利用者を集めること」を優先せざるを得なくなった。


学年分けが困難に|理想と現実のズレ

🐶チャッピーくん
学年別支援は、ここで崩れていったんですね。

棚橋代表
そうですね。
「学年別支援をする」と言いながら、初期は利用者確保に奔走。
利用者さんは増えたけれど、学年に偏りが出て、学年分けが難しくなっていきました。

それでも保護者の方々が支持してくださったことには、感謝しかありません。

ひとまず、学年別支援の立て直しを図るために10年分の「学年別の利用者推移表」を作って、
そこに合わせて新規や問い合わせの調整をしていくことにしました。


スタッフとの認識のズレ|忘れられない一言

🐶チャッピーくん
一番しんどかったのは、どんな時でしたか?

棚橋代表
スタッフとのズレが大きくなった時期ですね。

オープンしてしばらくは、
「理想だけでは回らない現実」と
「理想を追いかけたい自分」の乖離が生まれて、
私自身も混乱していました。

その混乱は、従業員にも伝わります。

当時、従業員に言われた言葉が今も残っています。

「ひかりのにわ」と「あかのひかりのにわ」は
全く別の事業所ですね。

私は、あかのひかりのにわからひかりのにわへ
子どもたちを“上げていく”ことを前提に考えていました。

でも、人に任せていた
「あかのひかりのにわの支援」と
自分でやっていた
「ひかりのにわの支援」は、
いつの間にか別々になってしまった。

現場としても、
「代表の言いたいことは分かるけど…」
という状態になってしまっていました。

間に挟まれる社員は疲弊し、
2年働く人はほとんどいない。
そんな会社になってしまった時期もありました。

それでも一定の支援の質が担保できたのは、
支えてくれたパートさんたちのおかげです。
社員の入れ替えは頻繁だったのですが、
パートさんは幸いにも長く働いてくれる方に恵まれました。


「どうやるか」に正解がない|放デイという仕事の難しさ

🐶チャッピーくん
放課後等デイサービスって、やること自体は決まっているんですよね?

棚橋代表
ガイドライン等はあります。
ただ、現場単位で見ると
「どうやるか」に正解がありません。

だから放デイは、事業所の個性が色濃く出る。
多様性があるから、子どもたちは環境を選べる。
それは大きなメリットです。

一方で、
私自身は「これでいいのか」と思い続けながら
支援に関わってきました。
今も、そう思うことがあります。


コロナ禍|法人も現場も苦境に

🐶チャッピーくん
そこにコロナ禍が来た…。

棚橋代表
はい。
新型コロナウイルス感染症が世界を震撼させたとき、
私自身も法人も苦境にさらされました。

それでも現場と力を合わせて、
何とか乗り越えることができました。


転機|「一体運営で、4学年制を取り戻す」と決めた

🐶チャッピーくん
転機は、いつ訪れたんですか?

棚橋代表
コロナが下火になり始めた頃ですね。
横山台のオーナーから
「空いている隣のスペースを借りないか?」
とお話をいただきました。

ちょうどその頃、
あかのひかりのにわの管理者が退職し、
集団退職が始まってしまいます。

さらに報酬改定で放課後等デイサービスは追い詰められ、
ひかりのにわもピンチを迎えました。

そこで悩んだ末、一大決心をしました。
それは、
「放課後等デイサービス ひかりのにわ」
を閉所することでした。
そして、「あかのひかりのにわ」を改め「ひかりのにわ」として、
別々の事業所ではなく3単位制の一体的に運営し直す。
そして改めて「4学年制支援」を目指す。

そうして、横山台にあった「あかのひかりのにわ」はなくなり、
新生「ひかりのにわ」として3単位制の事業所が生まれました。


今、10年経って見えてきた形

🐶チャッピーくん
3単位制になって、何が変わりましたか?

棚橋代表
4学年制支援が、かなり形になってきました。

毎年、新1年生を募集できるように
学年ごとの利用人数を調整し、
子どもたちがクラスをスライドしていくことができています。

一軒家で始まったこと。
大きな法人の跡地を借りられたこと。
コロナを乗り越えたこと。
集団退職があったこと。
…それ以外にもたくさんありました。

でも、
それらがあったからこそ今があると感じています。

そして3単位制になったことで、
私自身も“2つの事業所を見る”状態から
“1つをしっかり見る”状態になりました。

全体の把握がしやすくなって、
少しずつ気持ちにもゆとりが出てきた。
その結果、生活介護との連携や地域連携にも
力を入れられるようになってきました。

まだまだ良くなる余白はたくさんあります。
でも、学年別支援×3単位制は
一つの形になってきたと強く感じています。


これから|変わり続ける。初心をあきらめない。

🐶チャッピーくん
最後に、これからの「ひかりのにわ」について聞かせてください。

棚橋代表
時代が巡り、社会も、制度も、子どもも変わっていきます。
ひかりのにわも、いい意味で変わり続けられる場所であり、
同時に、今ある形にこだわれる場所であり続けたいと思っています。

10年続いた理由は、正直わかりません。
くじけそうになったことが、何度あったかわかりません。
人、支援、お金。
様々な苦難がありました。
きっとこれからもあると思います。

それでも――
10年続いた理由は、初心をあきらめなかったからだと思っています。

これからも、初心を忘れず、
周りの言葉に耳を傾けながら、
考え続けていきたいと思います。

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